令和6年4月1日から、4種混合ワクチン(ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ)とヒブワクチンの両方の成分を含む5種混合ワクチンが定期接種となります。
これにより、4種混合ワクチンとヒブワクチンの2本を接種することで予防していた感染症が、5種混合ワクチンの1本で予防できるようになります。
対象者
公費対象年齢 | 接種回数と標準的な間隔 | 持参する物 |
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第1期初回:3回(20日から56日までの間隔をおいて3回接種)
| 母子健康手帳 予診票 |
| 追加:1回(1期初回(3回分)終了後、6か月から1年6か月までの間隔で接種) | 同上 |
交互接種について
これまで4種混合ワクチンとヒブワクチンで接種を開始した方は、原則として同一のワクチンで1期追加までを完了させることととなります。5種混合ワクチンで接種を開始した方は、5種混合ワクチンで1期追加までを完了してください。
5種混合ワクチンを接種することで予防できる感染症
5種混合ワクチンを接種することで、ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ、ヒブ感染症を予防することができます。
ジフテリア
ジフテリアは、ジフテリア菌により引き起こされる病気です。主に咳やくしゃみなどの気道の分泌物によってうつり、喉などに感染して毒素を放出します。症状は、発熱・のどの痛み・物が飲み込みにくい・声がかれるなどの症状が認められます。2,3日の間に、ジフテリア毒素の働きによって破壊されたのどの組織が、偽膜(ぎまく)と呼ばれる厚い灰石色の層となります。この偽膜が広がると気道がふさがれて、息ができなくなることがあります。治療をしてもかかった人の10%くらいが死亡する病気です。また、ジフテリア毒素が血液とともに離れた臓器まで運ばれて、心臓や神経の病気(合併症)を起こすことが知られています。
百日せき
百日せきは、百日咳菌によって引き起こされる病気です。激しい咳をともなう病気で、1歳以下の乳児、とくに生後6か月以下の子どもでは亡くなってしまうこともあります。主に咳やくしゃみなどの気道の分泌物によってうつり、咳のために乳幼児では呼吸ができなくなるために全身が青紫色になってしまうこと(チアノーゼ)やけいれんを起こすことがあります。また、窒息や肺炎等の合併症が致命的となることがあります。
破傷風
破傷風は、破傷風菌により引き起こされる病気で、かかった場合に亡くなる割合が非常に高いです。主に傷口に菌が入り込んで感染を起こし毒素を通して、さまざまな神経に作用します。口が開き難い、顎が疲れるといった症状に始まり、歩行や排尿・排便の障害などを経て、最後には全身の筋肉が固くなって体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなったりし、亡くなることもあります。
ポリオ(小児まひ)
ポリオは脊髄性小児まひとも呼ばれ、ポリオウイルスによって引き起こされる病気です。子ども(特に5歳以下)がかかることが多く、麻痺などを起こすことのある病気です。主に感染した人の便を介してうつり、手足の筋肉や呼吸する筋肉等に作用して麻痺を生じることがあります。永続的な後遺症を残すことがあり、特に成人では亡くなる確率も高いものとなっています。
ヒブ(Hib)感染症
ヒブ(Hib)感染症は、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌によって引き起こされる病気で、そのほとんどが5歳未満で発症し、特に乳幼児での発症に注意が必要です。主に咳やくしゃみを吸い込むことで感染を引き起こし、症状がないまま菌を保有(保菌)して日常生活を送っている子どもも多くいます。感染すると、肺炎・敗血症・髄膜炎・化膿性の関節炎等の重篤な疾患を引き起こすことがあります。重篤な疾患(肺炎・髄膜炎・化膿性の関節炎など)を起こした者のうち3〜6%が亡くなってしまうといわれています。また、特に髄膜炎の場合は、生存した子どもの20%に難聴などの後遺症を残すといわれています。
ワクチンと副反応
主な副反応として、接種部位の発赤、腫脹(はれ)、硬結(しこり)などの局所反応です。接種後、7日目までに認められることが多いです。
なお、硬結(しこり)は少しずつ小さくなりますが、数か月残ることがあります。特に過敏な子どもで肘を超えて上腕全体が腫れた例がまれにありますが、冷湿布などでの対症療法で徐々に治まります。通常高熱は出ませんが、接種後24時間以内に37.5℃以上になった例がごくまれにみられます。