昨年の12月から始まった「上峰町中心市街地活性化事業デザイン会議」では、有識者と民間の事業者、そして行政が集い、都市計画、建築、ランドスケープ及び情報デザイン4つの視点で看板、サイン、デザインなどが無秩序にならないようコントロールするため、さまざまな検討をしています。
都市計画を専門とする猪八重准教授は広域での土地利用や交通計画などに精通されていることから、この会議の委員長を任されています。
「会議では広大な敷地の中で提案された建物の配置案の妥当性やデザインなどを検討しています。その根本にあるのは、上峰の良さや特徴を表現した建物を作るためにはどうすればよいか。敷地の中だけでなく、鎮西山や古墳群、ため池など周辺施設との調和やつながり、また見え方も含めて、町のシンボルとなるような場所にしようというコンセプトです。例えば、町民の皆さんが公園とため池の周辺を散歩やランニングすることができる導線など、人の動きも検討しています」と猪八重准教授。会議はこれまでに5回行われ活発な意見が出ています。
子どもたちが誇れる場所に
学生時代はよく映画を見に上峰町へ訪れていたという猪八重准教授は「古墳群や鎮西山など歴史的な魅力がある町だと思います。ですがそれらが潜在化してしまっているので、そういった資源を生かした町づくりが重要だと思います。
何より、新しい中心市街地は人が集まる場所としての意義が一番大きいです。 〝そこに行けば誰か知っている人に会える〟というのはとても重要です。人がつながれる場所を作りたいと皆で話し合っています。そして、参加している皆さんが常に言われるのは〝子どもたちが誇れるものをつくりたい〟ということです。そのために会議を重ね、ビジョンを描いています」と微笑みます。
町の新たな拠点がどんな場所になるのか、今後の進展が楽しみです。
委員長
佐賀大学理工学部理工学科 准教授
猪八重 拓郎(いのはえ たくろう)さん
プロフィール
2000年佐賀大学理工学部土木工学科、
2006年同大学院工学系研究科卒。
2018年より佐賀大学理工学科准教授に就任。
県内の都市計画審議会の委員などを努め、
現在は佐賀県都市計画審議会会長を務める。