恋の告白者 馬場紘彦(ばば ひろひこ)さん
1939年生まれ。上峰町で育ち、熊本大学工学部卒業。
音響メーカーの研究室に勤務後、東海大学熊本キャンパスで指導にあたる。
その後、上峰町に戻り久留米工業大学の交通機械工学科で教授として30年教鞭を執った。
同大学の名誉教授。現在、上峰町教育委員も務める。
秋の日の出会い
先月、紅葉した柿の葉をモチーフにしたパステル画の作品展を開催したのは、電子工学の工学博士である馬場紘彦さん。父親が東京芸術大学(当時・美術学校)を卒業後、美術教師をしていたこともあり、絵の雑誌などに囲まれて育った影響からか絵を描くのが好きな少年でした。退職してからはたまに描いていましたが、4年前のある出会いがきっかけで絵の世界にのめり込んでしまいました。
「秋の日に、鎮西山で見かけた柿の葉が美しく、一枚一枚異なる表情が人の人生と重なり、描かざるを得ない衝動に突き動かされました」と馬場さん。その時、柿の葉に〝恋をした〟馬場さんは帰り道に早速パステルを購入し描くようになりました。
使い込まれた色とりどりのパステル
柿の葉との対話
馬場さんは自然体で描くことを大切にし、自宅のリビングで思いついた時にパステルを握り、何層にも色を重ねながら柿の葉の微妙な色合いを表現していきます。
「柿の葉と対話しながら、試行錯誤して描いていますが思う通りになりません。それが絵を描く面白さだと思います。失敗しそうだと思って手を入れると逆に味が出てよくなったりします。最初からうまくいくものより、失敗かなと思った作品の方が逆に奥深く面白くなり、発見する感動がありますね」と愛情を込めて描いています。
近くで見ると、紙と顔料の質感がしっかり分かる!
身近なところにある楽しみを見出す
今回、初めての作品展ではこれまでに描いた全76点を披露した馬場さん。
「日常を大きく変えてくれた柿の葉に感謝しています。楽しいという気持ちは身近なところにたくさんあります。私の絵を見て、絵を描いてみようという気持ちになったり、勇気づけることができたりしたら嬉しいです。80歳を過ぎても夢中になればこれだけの絵を描けるよということを伝えたいですね」と瞳を輝かせる馬場さん。
今年も柿の葉が色付く秋を楽しみに待っています。
馬場紘彦作品展を開催しました
7月1日〜10日、アバンセ(佐賀市)での作品展を大盛況で終えた馬場さん。
作品の間に馬場さんの思いを綴った解説を展示し、見る人と気持ちや感動を共感されました。
心躍る作品の一部をご紹介