玳玻天目茶碗
玳玻天目茶碗(たいひてんもくちゃわん)吉州窯
中国 南宋時代 12~13世紀
器高 5.5cm 口径(推定)10.5cm
令和4~5年度に実施した鎮西山城跡の発掘調査において出土。断面は擂鉢状になっており、喫茶用。釉薬の感じが玳瑁(たいまい)という海ガメの甲羅に似ていることから、「玳玻天目茶碗」や「玳玻盞(たいひさん)」と呼ばれる。
玳玻天目茶碗は、福原京では祇園遺跡という平家一門の別邸推定地内、鎌倉では北条時房・顕時邸(あきときてい)跡で発見されている。北条時房は、鎌倉幕府2代執権北条義時の弟で、幕府の初代連署という重職を務めている。また、北条顕時は、鎌倉幕府の引付衆や評定衆の要職を歴任した人物である。このことから玳玻天目茶碗は、権力や経済力を持つ有力者が所有するような価値の高い茶碗であることが推測できる。では、なぜ当時の政治・経済の中心地ではない鎮西山の山頂で玳玻天目茶碗が発見されたのか、大きな疑問である。残念ながら、鎮西山の山頂に中世の山岳寺院などが存在したという文献資料は残っていない。しかし、発掘調査では玳玻天目茶碗を含む多様多種な中国産の陶磁器類が数多く出土していることから、鎮西山で発見された宗教的な施設跡と関わりがある人物については、中国や博多とのネットワークを持ち、海外の文化を享受できるような権力や経済力を持つ地位の高い有力者であったと考えられる。